大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
そのまま隣の自宅へと駆け込んだ私は、そこにある麻の手拭いを4枚、手に取り、濡れないよう懐に入れて機織り小屋へと戻った。
「うちには、これしかありませんが、絞って
順にお使いください。」
私が先程の40過ぎの男に手拭いを差し出すと、男は私の名を尋ねた若い男にそれを手渡した。
受け取った男は、
「アヤ、こっちへ来い。」
と私を呼んだ。
「………はい。」
私は訳も分からず、男の前に進み出た。
この人… 男なのに美しい…
思わず、一瞬、息をのんで見惚れていると、男に突然手拭いで体を拭かれた。
「キャッ」
驚いた私が思わず後ずさると、
「逃げるな。」
と有無を言わさぬ口調で言われ、私はそれ以上動けず、その場で立ち止まった。
「………放っておけばよいものを。
お前が濡れてしまったではないか。
俺たちは、お前とは鍛え方が違う。
これくらい放っておいても、どうという事は
ないのに。」
先程とは違う優しい声音。
なぜだろう…
その時、私の心臓がトクンと跳ねた。
「うちには、これしかありませんが、絞って
順にお使いください。」
私が先程の40過ぎの男に手拭いを差し出すと、男は私の名を尋ねた若い男にそれを手渡した。
受け取った男は、
「アヤ、こっちへ来い。」
と私を呼んだ。
「………はい。」
私は訳も分からず、男の前に進み出た。
この人… 男なのに美しい…
思わず、一瞬、息をのんで見惚れていると、男に突然手拭いで体を拭かれた。
「キャッ」
驚いた私が思わず後ずさると、
「逃げるな。」
と有無を言わさぬ口調で言われ、私はそれ以上動けず、その場で立ち止まった。
「………放っておけばよいものを。
お前が濡れてしまったではないか。
俺たちは、お前とは鍛え方が違う。
これくらい放っておいても、どうという事は
ないのに。」
先程とは違う優しい声音。
なぜだろう…
その時、私の心臓がトクンと跳ねた。