大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
私は、針も絹もそのままに、部屋を飛び出した。

大王は両脇を屈強な男2人に抱えられながら、厩(うまや)からこちらに向かっていた。

「大王!!」

私が駆け寄ると、支えていた男たちから離れて大王は私に歩み寄る。

「心配致しました。
よくご無事で…」

それ以上は、喉が詰まって、言葉にならない。

大王のお顔をよく見たいのに、涙で滲んでそれもぼやける。

「アヤ…」

大王が私を抱き寄せた。

体が………

熱い!!

「大王!
熱いではありませんか!?
急いで大王の床(とこ)の支度を。
そこの2人。
大王を寝所へお願いします。」

私は側について来ていた女官と、先程の男2人に指示を出す。
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