大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
「っ!
これが、寝てられるか!?
アヤ、本当なのか?」

私は起き上がろうとする大王の隣で横になった。

「これなら、起き上がる必要はありませんよ
ね?」

大王と向かい合って、目を合わせる。

「本当です。
それが分かったから、私は吉備に行くのを
やめたんですから。」

「吉備に?」

「大王が病でお倒れになったと聞いて、居ても
立っても居られず、私はハヤに吉備まで
連れて行ってくれるように頼みました。
すると、ハヤは、葛城に大王の容態を知らせる
早馬を頼んでくれて、大王の乳母に私が
懐妊していないかを確認するよう進言して
くれたんです。
乳母が懐妊してる事を教えてくれたので、
私は吉備に行くのを諦めました。
もし、あの時、ハヤがいなかったら、私は
きっとひとりでも吉備に向かっていたで
しょう。
今、私とお腹の子が無事なのは、ハヤの
お陰です。」
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