大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
私は大王の手を握った。
「アヤ、ありがとう。
それでは、俺は1日も早く元気にならねば。
父になるんだからな。」
大王はしっかりと私の手を握り返してくれた。
「はい。
私こそ、大王に感謝しております。
大王がいてくださるから、私はこのように
幸せなのですから。」
・:*:・:・:・:*:・
それから、10日程で大王は起き上がれるようになった。
少し動くだけでも、息が上がって苦しそうだが、それも徐々に回復していった。
「大王。
どうして、大王はまだ熱が高いのに吉備を
出立なさったんでさか?
そんな事をするから、余計に長患いに
なったのではありませんか?」
私が尋ねると、
「そんなの決まってるだろ。
アヤに会いたかったからだ。」
と大王は私の肩を抱き寄せる。
「は?」
「あの時は、咳が酷く、息も苦しくて、
もしかして死ぬかも…と思った。
そしたら、最後にどうしてもアヤに
会いたかった。
アヤに会うまでは死なないと、心に決めて、
香久山に向かったんだ。」
「大王!
それで本当に命を落とされたら、どうなさる
おつもりだったんですか!?」
「今、こうして生きてるんだから、
いいじゃないか。
アヤが看病しなかったら、俺は死んでたかも
しれないんだぞ?
帰ってきたお陰で、薬も白湯も重湯も口に
できたんだから。
吉備では、誰も口移しで飲ませてなんて
くれないんだからな。」
そう言って、大王はくすくす笑う。
私は改めて言われると、恥ずかしくて顔を背けた。
「そんな恥ずかしい事、あえて言わなくても
いいじゃありませんか!
大王は、やっぱり意地悪です!」
すると大王の長い指に顎をすくわれて、大王の方を向かされる。
「すまない。
拗ねるアヤがかわいくて、
つい虐めたくなる。」
大王はそう言うと、そっと口づける。
ああ…
大王が生きててくれて本当に良かった…
「アヤ、ありがとう。
それでは、俺は1日も早く元気にならねば。
父になるんだからな。」
大王はしっかりと私の手を握り返してくれた。
「はい。
私こそ、大王に感謝しております。
大王がいてくださるから、私はこのように
幸せなのですから。」
・:*:・:・:・:*:・
それから、10日程で大王は起き上がれるようになった。
少し動くだけでも、息が上がって苦しそうだが、それも徐々に回復していった。
「大王。
どうして、大王はまだ熱が高いのに吉備を
出立なさったんでさか?
そんな事をするから、余計に長患いに
なったのではありませんか?」
私が尋ねると、
「そんなの決まってるだろ。
アヤに会いたかったからだ。」
と大王は私の肩を抱き寄せる。
「は?」
「あの時は、咳が酷く、息も苦しくて、
もしかして死ぬかも…と思った。
そしたら、最後にどうしてもアヤに
会いたかった。
アヤに会うまでは死なないと、心に決めて、
香久山に向かったんだ。」
「大王!
それで本当に命を落とされたら、どうなさる
おつもりだったんですか!?」
「今、こうして生きてるんだから、
いいじゃないか。
アヤが看病しなかったら、俺は死んでたかも
しれないんだぞ?
帰ってきたお陰で、薬も白湯も重湯も口に
できたんだから。
吉備では、誰も口移しで飲ませてなんて
くれないんだからな。」
そう言って、大王はくすくす笑う。
私は改めて言われると、恥ずかしくて顔を背けた。
「そんな恥ずかしい事、あえて言わなくても
いいじゃありませんか!
大王は、やっぱり意地悪です!」
すると大王の長い指に顎をすくわれて、大王の方を向かされる。
「すまない。
拗ねるアヤがかわいくて、
つい虐めたくなる。」
大王はそう言うと、そっと口づける。
ああ…
大王が生きててくれて本当に良かった…