大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
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弥生の頃。

「アヤ」

私の部屋を訪れた大王が手にしているのは、桜の小枝。

「綺麗だ。
アヤによく似合う。」

大王は私の髪に桜を挿して言った。

「ありがとうございます。」

「梅の花をやれなかったのは申し訳ないが、
これで許してくれるか?」

大王は微笑んで言った。

けれど…

「嫌です。
だから、来年こそ、梅を見に連れて行って
くださいね。」

私は微笑んで答える。

「くくっ 嫌か。
そうか、うん、来年だな。
では、毎年見られるように、アヤの部屋の前に
梅を植えよう。」

と大王も笑った。

ん? 植える?
それって…

「遠乗りはもう連れて行ってはくださらない
んですか?」

私が少し寂しくなる。

そんな私を見た大王は、

「梅の季節は寒かろうと思ったのだが、
行きたいか?」

と聞いてくださった。

「もちろんです。
大王の腕の中は、いつも暖かですから。」

私の幸せは、大王の腕の中にある…


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