大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
宮廷にて
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宮廷にて

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私が馬に乗せられて着いた先は、香久山の麓の見た事もない程、大きな屋敷だった。

いや、屋敷と言うには、あまりにも広く、言葉も出ない。

今まで、里長の屋敷をとても大きくて広いと思っていたが、そんな物とは比べようもない。

私は馬から降ろされた後、違う男に引き渡され、かと思えば、今度は違う女に引き渡されて、部屋に案内された。

私は、案内してきた女に聞いた。

「ここはどこ?」

女は怪訝そうに私を見る。

「宮廷でございます。」

宮廷? 宮廷って何?
お屋敷の大きいやつ?

「あの、私は、いつ帰れるの?」

女はきょとんとした顔で、私を見返した。

「それは、お里帰りの事ですか?」

女に聞かれて、私もきょとんとする。

「お里帰り?」

「お妃様は、余程の事がないとお里帰りは
なさいません。
何より大王のお許しがないと。」

女は言った。

「あの、妃って、何?」

私が聞くと、女は怪訝そうな顔で、

「大王の妻になられた方の事でございます。」
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