大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
「妻!?」

私が!?

「え?
じゃ、大王って、誰?」

女はますます不審そうな顔をして、

「あなた様を馬でお連れになった方で
ございます。」

と言った。


は!?
私を連れてきた男は、20歳そこそこの若者だったわよ?
大王といえば、里長より、ずっと権力を持つ偉い人のはず。
だから、毎年、献上品の絹織物を差し出しているのに。
それが、里長より、ずっと年若いあの男が大王だと言うの?

確かにあの男は、私を妃にすると言った。
あれは、私を妻にする…私と夫婦になる…という意味だったの!?


私は、ここへ来て、ますます混乱していた。


じゃあ、ハヤは?
夫婦になると約束したハヤは?

機織りは?
妹たちが受け継ぐから、私はもう必要ないの?

説明してくれた女が部屋を去っても、私は混乱から抜け出せず、部屋をウロウロと歩きまわっていた。
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