大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
せめてもの救いは、私が嫁ぐ相手が、ハヤだという事。
ハヤは、里長(さとおさ)の2番目の息子で、私よりひとつ上の17歳。
幼い頃から一緒に野山を駆け回った気心の知れた相手だ。
2年程前から急に背が伸びて、ちょっと前まで私と並んでいた背丈が、私より頭ひとつ分以上大きくなった。
雄々しく凛々しく成長したハヤとなら、きっといい夫婦(めおと)になれる。
・:*:・:・:・:*:・
空が黄昏れ始めると、機織りはできない。
美しい織りは、繊細な技によりもたらされるのだ。
私は母と片付けをして、機織り小屋を後にする。
「アヤ!」
声と共に、ハヤが駆けてくる。
「先に帰ってるわね。」
そう告げた母に頷くと、母は去っていった。
ハヤの右手には仕留めたばかりだと思われる兎。
「これ、アヤに。
今から、お前んとこで捌いてやるよ。
それから、こっちも。」
と反対の手に握られていた花を差し出す。
ハヤは、里長(さとおさ)の2番目の息子で、私よりひとつ上の17歳。
幼い頃から一緒に野山を駆け回った気心の知れた相手だ。
2年程前から急に背が伸びて、ちょっと前まで私と並んでいた背丈が、私より頭ひとつ分以上大きくなった。
雄々しく凛々しく成長したハヤとなら、きっといい夫婦(めおと)になれる。
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空が黄昏れ始めると、機織りはできない。
美しい織りは、繊細な技によりもたらされるのだ。
私は母と片付けをして、機織り小屋を後にする。
「アヤ!」
声と共に、ハヤが駆けてくる。
「先に帰ってるわね。」
そう告げた母に頷くと、母は去っていった。
ハヤの右手には仕留めたばかりだと思われる兎。
「これ、アヤに。
今から、お前んとこで捌いてやるよ。
それから、こっちも。」
と反対の手に握られていた花を差し出す。