大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
私の言葉を聞いて、大王は驚いたように目を見開くと、私を思いっきり抱きしめた。

「アヤ…
それは俺も同じだ。
それを恋と呼ぶんだ。
アヤ…」

大王は、再び私に口づけた。

何度も何度も。


唇を離した大王は、切なげな目をして言った。

「アヤ…
言ってくれないか?
俺の事が愛しい…と。
俺が恋しい…と。」

だけど、私は首を振った。

「イヤです。
大王の側にいるのは、苦しいのでイヤです。
私を帰してください。
もう、この苦しい思いから、解放して
ください。」

私は声を絞り出して言った。

「できる訳ないだろ。
アヤが気づいてないだけで、
想いは通じ合ってるのに。
アヤはもう俺を愛しいと思ってる。
愛しいから、苦しいんだ。」
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