大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
私が言うと、突然、大王に抱きしめられた。

「久方ぶりにアヤの笑顔を見た。
やはりアヤは笑顔が1番美しい。」

え?
私、いつも笑っていたはずだけど…
笑えてなかった?


私が大王の腕の中で困惑していると、不意に大王は腕を解いて言った。

「さ、食べよう!
アヤが好きな物をお願いしておいたから、
きっと食べられるぞ。」

「はい。」


いつもの芋と菜の羹にこれは…

「雉(きじ)?」

私が食べながら尋ねると、

「ええ、そう。」

と母が答える。

「そう。ハヤにお礼を言わなきゃね。」

私が言うと、その場にいた全員が固まった。

「え? ハヤでしょ? この雉?」
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