大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
私が言うと、

「なんで分かるの?」

と2つ下の妹、キイトが言った。

「兄さんは野良仕事は上手いけど、狩りは
得意じゃないでしょ?
うちで食べる肉は、大抵、
ハヤがくれる物だわ。
ハヤは弓が得意だもの。」

私が言うと、

「アヤはそいつの事がよく分かるんだな。」

と大王が言った。

「ふふっ。そうね。
子供の頃からずっと一緒だったから、
分からない事の方が少ないかも
しれないわね。」

ふぅ…
大王がひとつ息を吐いた。

大王は、口を開きかけて、やめた。


大王は、何を言いたかったの?

私に、何か聞きたかった?


そして、

「食べ終わったら、
アヤが機を織る所を見たい。」

と言った。

「ふふふっ
桑の里の機織りは門外不出です。
何人たりとも、お見せできません。」
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