大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
「ふふっ。大丈夫です。
私は大王と私の分しか作りませんから。」

私たちは、久しぶりに楽しい食事をした。

食後、片付けようと立ち上がると、

「アヤ」

と大王に呼ばれた。

「はい。」

私は大王の横に跪いて、用件を聞こうと待った。

すると、大王は、私の両脇に手を入れて、ひょいっと持ち上げると、胡座をかいた自分の膝の上に私を乗せて、腕を回し、私を包み込んでしまった。

「大王!?」

驚いた私は、立ち上がろうとするが、大王の腕に捉えられているので、思うように身動きできない。

私は諦めて、そのまま大王に身を預けた。

「大王、重くはありませんか?」

私が聞くと、

「全然。
早く元気になって、
もう少し重くなってほしいものだ。」

と笑った。
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