大王(おおきみ)に求愛された機織り娘

月見の宴

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月見の宴

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あれから、私の体調は徐々に回復し、元の私に戻りつつある。

大王は、私の願いを本当に聞き入れてくれて、毎晩、私を包み込んで眠らせてくれる。

時々、私を困らせるような口づけはされるが、当初の約束通り、それ以上の事は求められてはいない。

初めは、大王に触れられるだけでドキドキと鳴り響く心臓が苦しくて逃げ出したかったが、近頃はそのドキドキもなんだか心地よく感じられる。

1番変わったのは、大王が私を外に連れ出してくれるようになった事。

まつりごとの合間に時間ができると、私を馬に乗せて野山を駆けてくれる。

暑い日は、一緒にせせらぎに足を浸してみたり、涼しく心地よい日には、木陰で一緒に昼寝をしたりする。

忙しくてなかなか外に出られない日が続くと、香久山の宮の庭園を夕餉の後に一緒に散歩してくれる。