大王(おおきみ)に求愛された機織り娘
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夕刻。

夕餉が運ばれてきた。

すると、程なく、大王も現れた。

大王の手には青い花。

「今日、出掛けた先で見つけた。
アヤに似合うと思って持ってきた。」



「綺麗なリンドウ…」

大王は、私の結い上げた髪に、リンドウを挿してくれた。


ハヤが青いオダマキの花を挿してくれたのは、初糸で機を織った立夏の頃だった。

あの頃は、ハヤと夫婦になると信じて疑わなかったのに、私は今、大王と共にいる。


「アヤ? どうかしたか?」

大王が心配そうに覗き込む。

「いえ、昔の事を思い出しておりました。
大王、ありがとうございます。」

私は微笑んでみせた。
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