初恋は終わらない
「でも、私……坂本くんのこと好きかって言われたら、そうじゃないし。だけど、嫌いなわけでもない」



気持ちを伝えるチャンスなんていくらでもあったくせに、今まで散々ビビって逃げて来て……今さらになって余裕失くしてる自分にも、


惚れっぽいくせに、こんなにもずっと、誰よりそばにいる俺のことだけは、好きにならないひまりにも……。



もう、どうしようもないほど
無性にイライラする。



「これから好きになれば」


「え?」


「簡単じゃん。ジュース奢って貰うとか、髪型褒めて貰うとか、1日中見つめといて貰えばいい。

それとも、なに。好きでもないのに付き合えないって?なら……迷ってないでさっさと断れよ!」


咄嗟に口をついて出た、俺らしくないトゲのある言葉。


「……っ、」



言い終わってから後悔するまでに、コンマ1秒かかっただろうか。


ひまりの傷付いた、今にも泣きそうな顔に、今度は心臓が抉(えぐ)られたみたいにズキズキと痛む。


こんなことを言いたかったわけじゃない。

そんな顔させたかったわけじゃない。
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