初恋は終わらない
今更そんなこと思ったところで……



「……っ、そうだよね。私、いつまでもそーちゃんに甘えてばっかりで、ごめんね。坂本くんのことは……自分でちゃんと考えてみる」



言ってしまった言葉たちはもう、戻らない。


大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、その雫が零れないようにと必死にこらえるひまりを、



「違っ、……」




今すぐ抱き締められたらいいのに。




「ごめん。先行くね」



勢いよく俺に背中を向けたひまりを、引き止めることも出来ずに、見送る。

生徒玄関に消えていく小さな背中は、すぐに人の波に飲まれて見えなくなった。




「クソッ……何やってんの、俺。余裕なさすぎ」




───初めて、ひまりを泣かせてしまった。


クシャクシャと髪を掻き乱して、息を吐くように「あー」と意味もなく声を出してその場にしゃがみこむ。


完全に俺が悪い。
あんなの、ただの八つ当たりだ。


「……こんなやつの、どこが爽やかだよ」



超だせー。
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