初恋は終わらない
「……そーちゃん」


「ごめん、痛かった?」


強く握りしめていたひまりの手を慌てて離せば、手首にうっすら残った赤い痕。



「そーちゃん」



───ドキッ



静かな空き教室の中で、ひまりの透き通った声が俺を包むのと同時に、

俺の手をギュッと握りしめたひまりが、もう一度小さな声で俺を呼んだ。



「……そーちゃん。そーちゃん、そーちゃん、……そーちゃん」


「呼びすぎ」


「……私、あさイチで坂本くんに返事したよ」


「っ、?」



てっきり、昼休みとか放課後とか……、俺の中で返事をするだろうと思ってたタイミングを尽く裏切って、


もう返事をしたと言うひまりに、俺は動揺を隠せない。


「そーちゃんが居なくても、ちゃんと1人で答え出せたよ」



───あぁ、間に合わなかった。

あんだけ決意固めて来たのに、一瞬で俺の中に諦めが滲む。



「……OKした?」


相変わらず俺の手を握りしめたままのひまりの手。
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