初恋は終わらない
利哉はいいやつだ。
間違いなく、ひまりのことを大事にしてくれる。


泣かせるようなことは絶対しない。そんなヤツ。

だけど……。

ひまりが誰かのものになるかもしれないって事実に、こんなにも心臓が嫌な音を立てるから。


相手が誰だって、ひまりだけは絶対に渡したくない。



「ね、そーちゃん?聞いてる?」



俺の制服の裾をちょんちょん、と引っ張るひまりにふと我に返る。



「……ん、聞いてる聞いてる」


「あ!今2回言った!絶対うそだ〜!」


「…………ごめん。ボーッとしてた」


「も〜!そーちゃんはいいよね!って言ったの!」


「なに、急に」


ひまりはジト目で俺を見ながら"ちゃんと聞いといてよね〜"と俺を小突く。

いや、地味に痛いし。
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