THE FOOL




綺麗な人は妙な迫力があって困る。


今もこうして威圧されて、勝ち目のない迫力に自意識過剰で羞恥が走る自分の懸念を言わされる。



「な、何か・・・されたかと・・・・」


「・・・・何か?」


「どこか・・・・触った?」



さすがに具体的な事は口に出来ず、それでも濁した言葉にその意味合いを含め投げかければ返される疑問に染まった美麗な姿。


ん?と首を傾げて私を覗き込む姿にこっちも疑問を返してしまい。


無駄に2人で疑問の投げ合い。


それでも好奇心強い雛華さんがその疑問に耐え切れなくなったらしくその声を響かせ探求心を働かせる。




「触ったって・・・誘拐したんだから抱えてきたよ?」


「いや、そうでなくて・・・・、あの・・・強姦・・てきな」




とうとう具体的に響かせた言葉に顔が熱くなる。


本当はもう分かっているのに。


絶対に何もされていないと分かっているからわざわざ「何かした?」みたいな追及はしたくないというのに。


性質のわるい探求心。


それに見事つかまり結局言わされ泣きたくなる。


ああ、もう呆れられるよな。


茜さんじゃあるまいし、この美麗な人が私ごときに欲情なんてする筈もない。


そんな風に自意識過剰に悶絶していれば、しばらく不動だった彼が方眉を下げたまま予想外の反応を返す。



「・・・・・強姦?」


「はい、すみません」


「・・・・・それって、どんな犯罪?」


「・・・・・えっ?」



新手の嫌がらせだろうか?


その内容を言わせて私を羞恥に陥れるプレイ?


そんな困惑を胸に疑問を返してきた彼をまっすぐに見上げて答えを得る。


これ・・・本気で聞いてるな。


決して悪戯に質問したわけでないと理解するその真剣な眼差し。


まるで難しい問題を突きつけられた子供の様だ。


早くその答えを知りたいと私を見つめるグリーンが酷く純粋なのだと何だか感じた。


無知で好奇心の塊。


思いたったらすぐ行動。


周りの迷惑を考えない彼は子供なのだとようやく理解し始めそれに気がつく。




「・・・もしかして、・・・・恋すらした事が無いんですか?」




そう響かせた疑問の答えはうっすらと得ている。


恋という言葉にその含みを混ぜてその予想の答えを求めていく。



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