THE FOOL
不意に抱いた疑問で、絶対に彼に気づかれない感じに視線を走らせた。
一瞬、
その表情が分かればいいと思って挑んだそれは、悲しいかなさっき自分が口にしてしまった話題でその目をサングラスに覆っていて全く読めず。
それでも特に雛華さんがそちらに意識を働かせている様な感じもなく、懸念していたような質問攻めもなく無駄に緊張感だけを抱いて目の前を通り過ぎ目的のコンビニの中に入店した。
ああ・・・試練だった。
そんな気分で一息つくとスッと離れた指先の感覚に驚いて振り返った。
捉えた姿はなんの躊躇いもなく窓際の雑誌や本コーナーに行ってしまい。
私から離れた時はあんなに不貞腐れたのに。と、どこかで不満に口をすぼめた。
あれ?
別に怒るところじゃないか。
あまりに多くの抱擁で感覚がおかしくなっているなぁと呆れながら店内を進む。
そうして探し求めていた懐中電灯のコーナーで2種類のそれに真剣に悩んで不動になる。
たった一日やそこらの為に大きなカンテラの様なものを買うか、ただその要所要所を照らせるだけのそれにするか。
貧乏症の自分は明らかに安いほうの後者を推していて、散々悩む事何分だろう。
結果出資者に確認しようとその姿を求めて雑誌コーナーを覗いた。
あれ?
当たり前にあると思っていた姿はなく、疑問顔で陳列コーナーを順々に巡る。
そうして得た結論と言えば「いない」と一つ。
困惑したままきょろきょろしていれば、レジにいた歳も20代前半くらいの男の人が入口を指さし声をかけてきた。
「サングラスの方なら本を購入されて外に行かれましたよ」
何故・・・・。
しかも私が悩んでいる間にちゃっかり自分の欲しい物は買ってしまったとな。
理解できない行動によろめきそうなのを堪えて入口に向かう。
あの店員が若干ニヤけた含み笑いで私を見ていたのは気づかなかった事にしよう。
そうしてどこか嫌な予感を抱きながら外に出て来た道を見つめれば。
露骨・・・。
頭が痛いです。
思わず手で頭を押さえて現実逃避を計りそうになった。
探した姿はいとも簡単に予想範囲な場所で不動であって、これはもう誤魔化せないと渋々その姿に近寄る。