THE FOOL
今まで見ていた雛華さんと違い、髪を上げている姿は完全に大人の魅力で。
はっきり見えるグリーンアイや整った顔。
そしていつものアングルとは違う見降ろす彼に早かった心臓が更に動悸を強めてしまう。
可愛いは皆無。
健在するそれは大人の魅力のみの妖艶な姿。
そんな彼が弾きだした言葉はまた新たな波紋を広げる。
「・・・・・コレって、恥ずかしい事?」
「えっ?」
問われた質問に間の抜けた返事を返したと思う。
それでもどれを示して言っているのだろうとどこか逃避したように苦笑いで切り返せば。
今度は逃げられないようにしっかりと画面を指差してそれだと示しながら口を開く雛華さんには絶対に勝てない。
「あんな事・・・するのも見るのも恥ずかしいもん?」
「・・・・た・・ぶん、・・・一般的には?」
「ふぅん、じゃあ・・・なんでするかな・・・・」
「はい?」
「だって・・・、恥ずかしいならしなきゃいいし、むしろこんな映像必要なくない?」
そう言って眉根を寄せる雛華さんに返す言葉が見つかりません。
何だろう、道徳の先生になったこの気分は。
子供のする「どうして?」「なんで?」の質問に的確な答えが浮かばずに苦悩する。
と、いうか・・・・なんでセックスしたいかの心理なんて聞かないでほしい。
それでも聞かれた質問に真剣に考えてしまうのが私の性格。
確かに何でこんな羞恥心の働く行為をわざわざしたいと思うのか。
人間の動物的な子孫を残す本能と言われてしまえば正解だとも言えるけど、そんな理屈的な事じゃなくて。
もっとこう・・・、羞恥心より勝るその行為の理由。
「・・・・・・触れたくなる・・・から?」
「えっ?」
ぼやけて掴んだ答えを小さく零せば、見事受け取り反応を返す雛華さん。
その意味を探る様に見つめてきたグリーンアイに躊躇いながら、それこそ羞恥しながら返してしまう。