THE FOOL
「好きだと思った人には・・・触れたくなって、・・・手を繋いで、抱きしめあって、その存在に安心したくなるからじゃないでしょうか?」
「・・・・じゃあ、羞恥心まで働くこの行為までする理由は?」
「うーんと、・・・好きが強まると・・・物足りなくなるんじゃないですか?
触ってるだけじゃ足りなくて、もっと密着したくて、自分をさらけ出す事で相手にもそれを求めて・・・・、相手を求める代償で羞恥心を感じ・・・・、
っ・・・すみません・・・言っていてよく分からなくなりました」
そう言って白旗を上げてしまう。
言ったその顔は完全に赤いのに。
ぼんやりとその答えを頭に得たのにそれを言葉にするのはとても難しい。
だって理屈じゃなくて、多分好きだと思ったら触れ合いたいと思う物なんだと思う。
結局、本能って事になるんだろうか?
羞恥心が働く事によってお互いの秘密を暴いて知らない事はないって思って溺れてのめり込んでいく気がするんだ。
羞恥心は、感情を高める薬の様な。
そう人が元々持ちえる媚薬の様な物。
そんな結論を雛華さんに言うべきか迷って天井を見つめていれば、キュッと力の入った自分の手に絡む雛華さんの指先。
それに反応して視線を移せば、フッと近寄った顔に驚き心臓が強く跳ねた。
雛華さんの濡れた髪が頬を掠めて水滴が肌を滑る。
唇には触れなかったけれど私の首筋に雛華さんの唇を感じて、ゾクリと鳥肌が立った時には背中にベッドのスプリングを感じた。
「・・っ・・・」
首筋に軽い刺激。
多分甘噛みした口が離れると、私を見降ろす雛華さんをまともに捉える。
おかしいさっきまで私が見降ろす状況にいた筈なのに。
何故、どうしてこんな視点に切り替わってしまったのかと混乱しながら羞恥にも染まる。
元々はだけているバスローブから覗く雛華さんの細いけどしまった体の腹部。
そうか、本の虫と言えど活動的だと聞いていた。
決してしっかり割れているわけではないけれど、普通の人よりはある腹筋のラインが絶妙で、思わずそこを見つめてしまった。
と、言うより、目を見るのが恐かったんだ。