愛されない結婚と愛される不倫






大学時代、サークルには席を置いていたものの幽霊メンバーで、その活動より、恋人に翻弄されるほうを選んでいた。コンパというものにも参加したことはなかった。



「あっ!」



と、私は声を出してよろめいた。



舗道と車道の段差の削れた窪みにヒールが引っ掛かり転びそうになっていた。



すかさず彼は私の二の腕を掴み、支えた。私の自分の体に対する反射神経よりも彼の危機管理能力のほうが優秀だ。



何故か心が昂った。危険を目の前にした鼓動なのか彼に触れた反応なのか、私はまだ知らない。






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