愛されない結婚と愛される不倫
「私には?」
「女性はわからない。だから、今日のような事件が起きる」
「私も男性はわからない。わかったつもりでも何気ない出来事で突然わからなくなる」
「バトルの原因は?」
「それ、ここで聞く?」
「じゃ、歌う?」
彼は、掛貝さんは、言った通り割り箸でポテトフライを摘まんでいた。それはもう、無邪気に美味しそうに。
かつてない、妙な疼きを伴うときめきが私の心を揺さぶっていた。
それは、恋が終わった脱け殻の体を行きずりの男性に着て貰おうという、浅ましいというか、責任転嫁の意味を込めた今までの私のセックスプレイまでのシナリオを大きく書き換える動揺でもあった。
まさか、こんな些細な事象でこんな初恋にも似た同様が起こるとは思いもよらなかった。