愛されない結婚と愛される不倫






これ、



嫌だなあ。



そう……もう嫌で、この嫌が嫌で、いい加減、嫌じゃなくなりたいから……



あ、ここで……



ばらばらに散るように離れていた五感が揃って戻った。



フォークやスプーンが食器に当たる音。ワインがグラスを舐める音。笑い声。



この瀟洒なイタリアンレストラン。二人だけのテーブルが非対称に並ぶ店内。香ばしいガーリックとオニオンの匂い。



思い出した。





< 6 / 36 >

この作品をシェア

pagetop