一音入魂 〜1音に魂を込めて〜

1音  部長 三ヶ島 沙菜

『すいませんでした!私がソロの音外したせいで・・・先輩達を県大に連れて行くことができませんでした!』

2年生のコンクールの後。先輩の引退の時私の謝罪の声が音楽室にひびいた。

あのコンクールの時。私が吹いた課題曲のソロ。1音外して点数が下げられた。後一点で県大だった。

先輩が憧れ続けた県大へ私のせいで連れて行くことができなかった。

『・・・沙菜。』

『まつり先輩・・・。すいませんでした!』

その時の部長。瀬戸まつり先輩。クラリネットパートのパートリーダーでもあった。

『沙菜。ありがとう。』

ふんわりと鬼の部長が優しく笑った。

『何でですか・・・。私のせいで先輩達は憧れの県大へ行けなかったんです!西関も行く予定だったのに・・・』

『そんなに悔やむんならさっさと切り替えて2年生を引っ張っていきなさい!最後のコンクール良かった。そう思える様に必死に練習しな!』

『本当だよ〜!沙菜ちゃんならもっと上!全国いけるって!トランペットパートのパートリーダーとして言うけど今回のソロさいっあくだった!』

このみ先輩に何も言えなかった。その通りだったから。

『けどさ!めっちゃ努力してたから誰も沙菜ちゃんを責めないよ!ソロは最悪だけどね!沙菜ちゃんの音は魂込められててかっこよかったよ!』

『沙菜!ありがとう!』

『沙菜ちゃん!ありがとうー!』

『さーちゃんありがとー!』

先輩達は笑ってお礼を言ってくれた。

『沙菜。』

『まつり先輩。』

『部長は沙菜に任せるから。お願い。私達の夢。沙菜に託すから。』

『私でいいんですか?』

『いいの。沙菜だから任せるわ。』

先輩達に託された夢。私の代で叶えてみせる。

実際今の吹奏楽部まとまってるのかって感じなんだけど・・・!
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