忘れられない君との夏。


体に当たって流れて行く風はとても心地よいのに、信号で止まるたびに思い出したように汗が吹き出る。


アスファルトに着く足がじりじりと焼かれるような感覚に陥る。


今年の夏は猛暑。そのせいで梅雨がほとんどなかった。


10分ほどして、見慣れた校門が見えてきた。


私はいつも通り駐輪場に自転車を留める。


カゴに入れていた鞄を肩にかけ、重い足を引きずる。


「あーおーいー!」

< 2 / 88 >

この作品をシェア

pagetop