忘れられない君との夏。


「すごい、葵の予想的中」


「やばい、人生で1番嬉しくない予想的中だわ」


シャクッと音を立てて冷たい塊をかじる。


口の中がひんやりして気持ちいい。


チラッと横目でみると、洸は嬉しそうにアイスを食べてたから、まあよしとするか。


洸は徒歩通学なので、私は漕いできた自転車を引きながら洸の横に並ぶ。


「葵はさ」


カラカラと車輪の回る音がする。


「この町、好き?」


「うん」


即答した私に驚いたのか、洸は意外そうな顔をした。


「みんなさ、なんもないし、田舎だしって文句ばっかり言うでしょ?」


私は食べ終わったアイスの木の棒をかじりながら言う。


「でも私はこの町だからこそ、私が生きるんだなって思うよ」


私が私でいられるのは、きっとここにいるからだ。


違う場所に行ってしまったら、きっと私は変わってしまう。


私はそれが、怖い。

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