忘れられない君との夏。
「あはは、ごめん。だから、何かに本気になることもないのかと思ってたから、ちょっと意外だった!」
私はそう言いきって、ホースの口を洸の方に向けた。
「うわっバカ、なにすんだよ!」
「洸は、変わらないでね!」
きっと、うまく笑えてない。
ごめん、洸。こうでもしないと、言えなかった。
「俺はずっと、俺だよ」
私からホースを奪い取って、洸はそう言った。
「うん…だね」
「おかえし!」
「ちょっやだ!」
視界がキラキラと輝く。
楽しい。なんでもない会話、グラウンドから聞こえる声、秋谷先生の雑用、安いアイスの味。
全部、全部、かけがえのないもの。
今この瞬間が終わってほしくない。
だって、未来がどうなるかなんて、絶対誰にもわからないんだよ、洸。