忘れられない君との夏。
4日目
「ずっと、先輩のことが好きでした」
教室へ向かう廊下の曲がり角を曲がろうとして、私はおもわず足を止めた。
女の子の、震える声。
そっと顔だけのぞかせると、そこには高1の女子と、洸が立っていた。
洸はこちらに背を向けているので、表情はわからない。
「ありがとう。でも、ごめん。俺は…」
「いいんです、分かってました。でも、先輩が卒業する前に気持ちを伝えたくて。言えて、よかったです」
「…そっか」
女の子は今にも泣き出しそうな、それでいて清々しい表情をしていた。
洸は彼女を作ったことがない。
それは、東京に行くからなのだろうか。