忘れられない君との夏。


「…あれ、見失った」


たこ焼きを買い終えたあと、周りを見ると洸たちはいなくなっていた。


「まかれたかなあ」


苦笑を浮かべて、私はため息をつく。


私、いなくてもいいよね。


鼻緒を挟んでいる指が痛い。


洸は私のこと気にかけてくれてたけどど、なんだかそれにもイライラしちゃって、私ってほんと自分勝手だな…。


胸の中に、黒い塊があってなかなか消えてくれない。


私、嫌なやつだ。

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