忘れられない君との夏。
気づいたら、私たちは走ってた。
人の波を抜けて、お祭りの喧騒から逃げ出すように、ひたすら走った。
意味も考えず、洸の言葉に私はうなずいていた。
胸が、跳ねる。
洸に腕を掴まれてたはずが、いつのまにかしっかりと繋がれていた。
この時間が、ずっと続けばいいのに。
受験のことも、高野さんのことも、東京のことも、なにも考えない。
あるのは、洸とわたしだけ。
それだけの時間が、ずっと、続けばいいのに。