忘れられない君との夏。


自転車を漕ぎながら、考える。


お兄ちゃんは、今どうしてるんだろう。


楽しんでるのかな、苦しんでるのかな。


ひとりぼっちかな、誰かと一緒かな。


今はお兄ちゃんに対しての怒りや寂しさはどこかにいってしまった。


恨んでるのか、と聞かれても、お母さんみたいにハッキリと否定はできないけど確かになんとも言えないかもしれない。


ただ、忘れないでいてほしいと思う。


私たちが忘れられるのが、1番怖い。


この町を、この町の人を、家族を。


洸には?


今なら止められるかもしれない。


戻ってこなくなってしまう前に、変わってしまう前に、忘れてしまう前に。

< 74 / 88 >

この作品をシェア

pagetop