忘れられない君との夏。


「…おはよ」


教室に入ると、やっぱり洸はいつもの席に座っていた。


「おはよ」


いつも通り笑う。


「洸、ここ、わかんない」


「これは…」


いつもみたいに教えてくれる。


「ソフト部、頑張ってるね」


「試合勝つといいな」


お昼を食べる時も、いつもと変わらない会話。


こうやって、貴重な最後が過ぎていく。


交わさなきゃいけない言葉はたくさんあるはずなのに、たわいもないことばかりが口をつく。


時間だけが、過ぎる。

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