忘れられない君との夏。


「…よし、扇風機を借りよう」


立ち上がったのと同時に、教室のドアがガラリと音を立てて開いた。


「あれ、葵?」


ドアの方を向くと、少し驚いた顔をしたクラスメイト、相原洸がたっていた。


「なに、部活なんかやってたっけ?」


「…写真部。まあゆるいから春には引退したけど」


「おーそうだったかも。じゃあ、なんで?」


こいつ、とぼけた顔しやがって。わざとか?


「ほ!しゅ!う!デキる洸には私の気持ちなんて分かんないでしょーね!」


「あー、そうだそうだ。」

< 8 / 88 >

この作品をシェア

pagetop