忘れられない君との夏。


『先輩は、洸先輩の夢を奪うんですか』


『応援しなくて、いいんじゃない?』


私には、奪えないよ。応援も、できない。


『葵は葵らしく、素直になりなよ』


私らしいってなに?素直ってなに?


私の1番深いところの気持ちが、わからない。


『葵は、どうしたいの?』


わからない。自分がどうしたいのか、どうして欲しいのか。


じゃあ、分かることってなんだろう。


これだけは言えること。


なにがあっても、これだけは堂々と言えること。


それは、なに?


わかってる。ずっと、わかってた。


でも怖かった。


『わがままじゃないよ』


いいかな?亜美。素直になるって、そういうことなのかな?


『あんたまで完璧じゃなくていいんじゃない?』


私は自転車から手を離す。


『それは、葵の想いでしょ』


ものすごい音を立てて自転車が倒れた。

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