忘れられない君との夏。
それから
「じゃあちょっといってくるね」
「気をつけてね」
私は玄関を出て、自転車の鍵を回す。
高校から愛用してる自転車は、もうかなりボロボロだ。
ゆっくりとペダルを踏み込む。
「こんにちわー」
町内会の人たちが集まってるのが見えて声をかける。
そういえばもう祭りの季節だ。
「お、葵ちゃん。おつかい?」
「いえ、ちょっと駅まで」
「あー!そうか、今日か」
「はい!」
自転車を再び漕ぎ始めようとして、「ああ、そうそう」とまた話が始まってしまった。