目を閉じたら、別れてください。


……眠い。
あれから何もしないと言い放った男を信用して家に泊めたが、他人が自分のベットにいるあの落ち着かない感じ。

エッチ後って眠たくなって意識が微睡むから、隣に彼がいても平気だった。
が、素面で隣にいられるとどうしても落ち着かない。

結婚したら、一人の時間より彼といる時間の方が増えるのに。

というか、結婚したらあの大量の少女漫画は持って行っていいのだろうか。
置き場に困るかな。

「先輩、どうしたんですかあ?」
「困ったときの泰城ちゃんだよね。同棲中の彼氏とはどう?」
「ええー。普通ですよお。まあなんか一年も一緒に住んでると刺激が減りますよねえ。あ、いらっしゃいませえ」

流石土曜日の午前中。
平日とは比べ物にならないぐらい忙しい。

いつも部屋を探すためのカウンターも、席が埋まってる。
部屋の見学にさっそく三名出払ってる。

データ入力と、借家の申請書や契約更新の書類整理ばかりしている私もカウンターに駆り出される始末。

別に嫌ではないけど、土日が一番疲れるかもしれない。

出勤と同時に部屋から追い出した彼は、今日はゆっくりしたいと言っていたし休みが合わないなあ。
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