目を閉じたら、別れてください。
「えー……『金持ち用のジム? 今話題の?』っと」
「言い方!」
面倒くさいな、と内心思いつつ送信した。
そんな場所、絶対に近づきたくないのにどうして興味あるふりをしないといけないのだろうか。
「でもあの二人がそんなジムに行くなんて素敵。本社の派閥なんてでたらめなんですね」
「派閥はあるみたいよ。神山商事なんて、血縁経営だし血縁じゃない筆頭が叔父さん、血縁ごり押しが進歩さん」
「だからこそ、二人が一緒にいるってのがミスマッチでミステリマスでいいじゃないですか」
「お互い、一緒にいながら暗殺を企ててるのかもよ」
私がふざけたのに、全く聞いてない様子で叔父さんを想像してうっとりしている様子。
叔父さんは婚期逃した乙女野郎だし、進歩さんなんて性格最悪の御曹司ってだけが売りの男なのに。
珈琲を飲んでいると、返事がもう来てしまった。
過去と比べるのもどうかと思うけど、返信が早い。
『どうだっけ。斎藤さんの紹介だからわかんね。帰り、来る?』
「……どうしたんですか?」
「いや、帰りに、そのおじさんと進歩さんとごはんどうですか?ってさ」
「キャー! 行きます、行きます」
結局毎日会ってるような気がする。
嘘がばれて再会してからたった数日なのに、なんだろう。この怒涛の展開。