目を閉じたら、別れてください。
「嘘! それは無理。だって進歩さん、エッチの時も一緒に居る時も全然楽しそうじゃなかったし! 無理です!」
「はあ? お前がガッツいてない淡白な男がいい、硬派でしゃべりすぎない男がいいと言ったんだぞ」
「うそ!」
「お前、そんなふわっふわの脳みそだから、――あんな嘘をつくのか」
彼の目が私を、蔑む。いや、当然だ。
彼が罪悪感で別れてくれるかなって思った嘘だったのだから。
それがバレた今、彼に殴られても仕方がない。
「だって……別れたかったんです」
「都合がいいな。信じらんねえ」
大きく嘆息した彼だったが、泰城ちゃんが来た途端笑顔を貼りつけた。
「あのう、すごい音がしましたが、大丈夫ですか?」
「ああ。すまない。久しぶりに彼女と再会できたから盛り上がってしまって」
「そうだったんですね。先輩とお知り合いなんですね。でしたらこれからも安心ですね」