目を閉じたら、別れてください。
「神山さんたちのとこに行かなかったんですね」
「あ、うん。実家にドラマの録画お願いしてなかったの思いだして連絡してたの」
「あー、新連載の! 飯山美奈未ってめっちゃんこ可愛いモデルがヒロインの!」
「そう、それ」
あはは、とごまかして喫煙所の方へ歩く。
中にいる二人を見たら、険悪な様子はなかった。
彼がどんな風に答えたのかわからないけど、叔父さんを丸め込んだのが分かる。
どこまでが本心で、どこまでが彼の仕事上の野心で、どれが本音なのかわからない。
「お久しぶりです。やば、専務と課長とご飯とか、緊張しかしないですう」
何も知らない泰城ちゃんの言葉に、彼がふっと笑うのが分かった。
二人が喫煙所から出てくると、彼が私の方へ視線を向けてくる。
「飯、勝手に予約しといたんだけどいい?」
「うん。期待してる」
「運動の後だから肉を食べたくてね。桃花は今週ほとんど外食だろ?」
叔父さんが私と彼の間に割り込んできたけれど、違和感なかったので何も顔に出すのはやめた。
叔父さんが怒っていないのなら、悪いことを言ったわけではないかもしれない。
叔父さんがただ丸め込まれただけかもしれない。
ただ、私も彼に恋愛だけを望んで結婚をしたいと思っているわけではない今、何かがどんどん冷たくなっていくのだけはわかった。
今更もう、疑うことも信じることもばからしいくらい、