目を閉じたら、別れてください。
「なんで私?」

そんな高級店に通うような分厚い給料をもらっていない。
ネイルでさえ、自分で手入れしてるぐらい。
自分に投資してきたことはない。


「あー、なるほど。ブライダルエステってやつですね」
「ぶっ」

飲んでいたカクテルを吐き出しそうになって慌てておしぼりで口を押えた。

「だったら早い方がいいですよお。エステってそんな一か月で効果でないです。二、三か月後から効果が表れるんです。早めにしてた方がいいって言ってました」
「や、だって、」

式場だって決めてないしまだプロポーズちゃんとされてないのに。

「ブライダルエステって雑誌では安く載せるけど、実際はいっぱいオプション付けられて高額になるんですよお。だったら最初から自分で選んでた方が絶対いいです」

「もー。泰城ちゃん、圧がすごい」

カクテルを一気飲みした後、ピザを一切れとって、口の中に押し込んだ。
「えーっと、お二人はもうそんな話をする段階ってことですよねえ?」
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