目を閉じたら、別れてください。
『はい』
送信して数秒で電話がかかってきた。
『体調大丈夫なの?』
「大丈夫です。自分でも気づかなかったぐらいですから」
『ふうん。で、聞きたいことってなんだったの?』
「電話についてです。……あの日、朝電話していた相手、吉田さんじゃなかったのかなって思って」
直接会って聞けば、もっと視線とか挙動とかで探れたのに、電話で聞いてしまった。
それほど私は焦っていた。
「朝、私が起きた時、彼が電話してた時があって。水曜の朝だったかな。覚えてます?」
『……斎藤派閥が――って君との婚約について言ってたやつ?』
悪友のくせに、吉田さんは彼をかばうことなく、あっさり言ってくれた。
彼は、嘘だと私に言った。
電源が切れてるから嘘って言った。
でも叔父さんとの喫煙所での会話を聞いていたら、あの日の電話は本当で、電池が切れてるって言った方が嘘なんじゃないかなって思ったんだ。
「そう。ありがとうございます。相手はやっぱ吉田さんだったんですね」