目を閉じたら、別れてください。

「この前の電話の話だけど、もしかして内容聞いてたの?」
「盗み聞きしたわけじゃない。寝てる女の隣でデリカシーのない話をする方が悪い。それに別に不満はないの」

スマホをいじっても彼から連絡がないのでカバンに仕舞いながら、立ち上がる。

「その話が本当なら、愛情がなくても彼は私から離れられないんでしょ」

ケホっと小さく咳がこぼれた。
目を見開くよっしーさんの後ろから沙也加が手を振りながら歩いてくるのが見えた。
淡い水色のスーツに、前髪をひとまとめにして頭の上でお団子みたいにしてる、奇抜ながら沙也加みたいに美人がすると、スタイリッシュだがら不思議だ。

「沙也加、こっちが悪名高いよっしーさん」
「うっひゃー。つまみ食いされちゃう系の人ね。友人の結婚式だから、修羅場にならないよーにお互い友達でいましょうねー」
「どんだけ俺の悪名がとどろかせてんだよ」

苦笑いしつつも、もう一度私の方へ視線を向ける。



「都築さん、さっきの話はなにも解決してないよ。分かってるよね?」

「……よっしーさんみたいに離婚したくないので肝に銘じておきますね」
「都築さん」

クエスチョンマークを浮かばせて沙也加が首をかしげたけど、私は何事もなかったように彼のもとへ向かった。
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