目を閉じたら、別れてください。
きょろきょろと視線をさまよわせた後、彼を見た。
バツが悪そうな、気まずげに唇を少し噛んでいるその表情から嘘は感じられなかった。
「叔父さんが好きっていうのは、嘘、です」
唇が震えた。がくがくと震えて、少しだけ歯がかちかち音を立てる。
怖いと思った。
目の前で正直な彼を前に、怖いと思った。
何が怖いのかもわからず、唇が重たくなっていく。
「知ってる。お前、俺のこと好きじゃん」
「―-っ」
意地悪そうに笑う進歩さんがずるいと思った。
そんな顔、ずるい。傷ついてるくせに笑って許してくれようとしているその、大人な対応がずるい。
自分だって、あんな態度だったじゃない。
綺麗な人と付き合ってたくせに、家のこととか面倒じゃない私を選んだだけのくせに。
気を許した友達の前では、恋愛より家のことを優先にしたって言ってたくせに。
「わた、し、私――」
「うん」
「進歩さんとちゃんと、恋愛がしたかった……っつ」
言葉に出したら、ぶわっと涙が出てしまった。
「えっと?」
「ちゃんと恋愛して、結婚したかった」