目を閉じたら、別れてください。
「辞めたら、神山商事の財産の前に堕落しそう。最低限自分の趣味ものだけは自分で稼ぎたいな」
「お前のじいちゃんが『桃花は可愛いお嫁さん』になればいいって言ってたから、働いてたらうるさいだろうなあ」
「おじいちゃんとかうちの親は大丈夫。最終的には私が決めたらそれでいいって感じだし」
「うちは、大事に育てられた縁のあるお嫁さん☆だから大切に扱わなきゃってそわそわしてんぞ」
神山商事のご両親が思い出されて、思わず噴き出した。
いや、良い人たちなんだ。ちょっと考えが昭和な人たちだから、私がミニスカートとか履いたら泡出して倒れそう。
「だーりん、私そろそろ熱いから出るよ」
「は? お前、俺が髪を洗って手が離せないときにそんな卑怯なことを言うのか」
「いやー。ほんとに熱いんだよねえ」
「ここでイチャイチャかベッドでイチャイチャか、偶にはソファでイチャイチャか、さあ選べ、俺の面倒くさいハニー」
「……くそう」
面倒くさいって言いながら、にやにや幸せそうに笑ってる。
そのまま眠れて楽なのは、ベットだよねえ。
だけど一番長いのも、ベットだ。
イチャイチャとか可愛いものでもない。
「えっと、今日は疲れてるので」
「了解。ベットでイチャイチャな」