目を閉じたら、別れてください。
イチャイチャは嫌ではないし、同じ家に進歩さんがいるのも悪くない。
でも漫画読んでるときは一人で世界に浸りたい。
結婚したら一人の時間てどうやって作れるのか。
一緒に住んで気づいたんだけど、けっこう進歩さんは私の周りに来る。
料理してたら手伝いにキッチンに立ってくれるし、お皿洗ってたら拭いてくれるし、もう寝るか聞いてきて、ドラマを観ると言えば興味もないくせに一緒に見たがる。
意外と甘えっこなようで、はっきり言って性悪なくせにギャップがあって可愛い。
でもわがままを言えば一人でのんびりする時間も欲しいなあ、とか思ったり。
それにダイエットも。
家では食事制限に限度もあるしやはりお昼は徹底的に抜いて、朝も誤魔化さねばならない。
ここは、彼氏と同棲している泰城ちゃんに聞くしかない。
「一人の時間が確保できない?」
「そう。ずーっと一緒って息が詰まらない?」
今日の泰城ちゃんは、商店街に新しくできたパン屋さんの出来立てメロンパンとサンドイッチ。
バターの香る甘いメロンパンは美味しそうだったけど、私は家から持ってきたサラダをもそもそ食べる。
なんで泰城ちゃんは、そんなにおいしいものばかり食べてるのに、全然太らないんだろう。
「えー、私はトイレまで一緒に入るよー。一緒の家にいるんだから誰にも見られないなら一ミリでも離れたくない」
「ええええ」
「先輩、まだよく見せようと思ってますよね。旦那さん、先輩が面倒でも愛してるって言ってたんだから、素を見せても大丈夫ですよー。流石にすっぴんは見せてますよね?」