目を閉じたら、別れてください。
お父さんとお母さんも、お爺ちゃんと一緒に神山商事関係の親戚に捕まってバタバタしている。
叔父さんも、派閥だのなんだのが面倒くさいからとしれっと親戚の中に混じって煙草を吹かしているのが見えた。
そんなに大きくない館なので関係者は少なくしたのにもかかわらず、どこにいても仕事の因果関係があって可哀そうにも思える。
でもまあ、親同士が利害関係が一致しているのは彼ではないが面倒くさくなくていいのだと改めて知った。
「じゃあ私、そろそろ来るだろうから受付に戻るね。イケメンの新郎さんもちょこっと見れたら覗こうかな」
「あはは。写メっておいて」
私より一時間遅くセットしだして、私より早く終わったからとムードなく覗いてきたんだから許せない。
普通、式まで待っててくれてもいいのに。
一番に見たかったんだからいいだろ、ですって。
本当、いちいち言うことまで格好いいんだから腹が立つ。
「桃花、おじいちゃんがエスコートして池の橋を渡りたいんじゃが、どうだろうか」
「え、えー?」
教会まで新郎エスコートじゃなかったっけ。
急な変更に、私も急いでドアの方へ向かったのだった。