目を閉じたら、別れてください。
お爺ちゃんは神山商事の太いお客様っていう立場を存分に利用して、私のエスコート役を申し出たが、進歩さんも絶対に引かず緊迫した始まりになった。
が、左手はおじいちゃん、右手は新郎の進歩さんに手を支えられ私は狭い橋を渡った。
おじいちゃんと進歩さんがいいなら、それでいい。
両手に花も悪くない。
天気は快晴で、透き通るような青い日差しは、チャペルの中のステンドグラスを美しく映し出した。
ステンドグラスの色に映った床に、花弁が散りばめられていて、その中をお父さんと歩く。
先に待っていた進歩さんが、いつも通り気取った男前の顔だったので嬉しくて笑ってしまった。
彼は、優しく、そして愛し気にベールを持ち上げて誰にも見られないようにこっそり私だけに微笑みかけてくれた。
その顔だけで、私の心臓は止まってしまいそうなんだから、この人はずるい。