目を閉じたら、別れてください。
23時!?
20時に指定したくせに自分は三時間も遅れる予定だったのか。
そんな時間にご飯食べたら太る。確実に太る。
ので、お言葉に甘えて食べることにしよう。
でもこの状況、食べたらエッチの流れにはならないよね?
エビのてんぷらの箸で摘まみながら、お行儀悪く肘をつく。
カラッと揚げられた海老を見ながら、思うのは一年前のことだ。
私は平凡な自分の身体に自信はない。
それに比べて神山進歩は、寡黙て落ち着いた男のくせに脱いだら筋肉が嫌味じゃない程度についていて、引き締まっていて格好良かった。
益々貧相な私は自信が持てず、そんな流れになったときは『真っ暗にしてほしい』とお願いしていた。
エッチは好きではない。
でも暗闇で、私の輪郭を探ってくる彼の手は好きだった。
触れようと、手を伸ばしてくる体温に、その優しさに、好意が感じられて好きだった。
舐められたり、指でほぐされたり、は変な声が出そうだったので好きじゃなくて止めてもらったから、淡白といえば淡白だったかもしれない。